ロードバイク Advent Calendar 2018 16日目
昨日の記事は脚力別、渋峠攻略ルート(紗希さんコース付き)です。
明日はharapeko_wktkさん、よろしくお願いします。

昨日の第五回 キャノンボール ワークショップに参加された皆様おつかれさまでした。
参加して得た有益な情報を箇条書きでメモしました。

目次

ロードバイク界の『キャノンボール』とは

通常は国道1号の両端、日本橋から梅田までを24時間で走破する試みを通称キャノンボールと呼びます。
同名の映画と直接の関係はありません。
現在はTwitterで決行を宣言し、道路元標と自転車の写真をアップする流れが一般的です。

キャノンボールワークショップとは

キャノンボールの達成を目指す方、興味がある方向けの情報共有を行うイベントです。
詳細は主催者ブログのキャノンボールワークショップ 開催概要をご覧ください。
第五回 キャノンボール ワークショップのように例年作成していただいているイベント告知でも雰囲気はつかめるかと思います。
達成者の講師によるプレゼンテーションの後に、グループトークでさらに突っ込んだ意見交換を行います。

主催者が毎年企画してくださっています。イベントを開く手間を考えなくとも頭が下がるばかりです。
このワークショップの参加者から、毎年キャノンボール達成者が出ています
実際に成果を残している点も素晴らしいですね。
ちなみに私自身もワークショップに参加した翌年にキャノンボール達成しました。

注記

  • 主催者とこの記事は無関係です。
    この記事について、主催者への問い合わせ等はおやめください。
  • この記事は参加者の私が取ったメモを区分ごとにまとめたものです。
    • プレゼンテーションもグループトークも私個人の感想も順不同に記述します。
      そのため時系列順ではありません。
  • 発言者の区分を箇条書きの冒頭に記載します
    • 区分の表記が無いものは講師のプレゼンテーションです。
    • 【グループ】グループトークでの発言です。
    • 講師私の発言または心のメモです。
  • 個人の受講メモを書き起こしたものです。
    会話を切り取って要点を短く記述した部分もありますので、正確さに欠ける記述が入っている可能性があります。

受講メモ

基礎知識

キャノンボールの歴史や統計です。

  • 「キャノンボール」という名称は2chスレが始まりだが、同様の挑戦は1960年代からあった。
  • 現在確認されている最速記録は19時間21分で、実に35年ぶりに更新された。
  • 2013年時点のデータでは挑戦者の約2割が達成、約4割が24時間以上で完走、約4割がDNFしている。
  • 近年はルートなどの攻略情報が増えているため達成率は上昇傾向にある。
  • 達成に化け物じみた能力は不要
    • 523kmを21時間(休憩や信号待ち3時間)と仮定すると、計算上は168W維持で達成できる。(無風時)
    • 無駄な時間を減らす、(風向きなど)有利な条件をそろえる、などの戦略で成功率が上がる
  • もちろんレベルを上げて物理で殴ればいい、という対策もあり
    • メモ超高レベルになるとママチャリやミニベロで達成できる
  • 「記録は自分の中に持っていればいいんですよ。」1970年達成者 藤田照夫氏
    • タイムなどにこだわって無理なルートや速度を選択しない

安全対策

事故回避のために大切な対策です。

  • キャノンボール本番での事故は過去に起こったことがある
    • 睡眠と補給が重要となる
      • 仕事の後にそのまま挑戦するのは危険なので決してやるべきではない
      • 挑戦3日前から8時間以上睡眠をとるのが望ましい
  • ライトは明るいものを使用すること
    • フロントライトのお勧めはVolt800
      • メモ私はブルベのレギュレーションに従い前後2灯で臨んだ
        HL-EL540、Volt1600、RAPID X2、RAPID mini
        HL~は夜間常時点灯、山道でVolt1600をミドル/ローで運用
  • 無事に家に帰ることが大事
    • 帰れればまた挑戦できる
  • 走行時の注意
    • 停車中の車を抜いて対向車の右折に巻き込まれる、いわゆる「サンキュー事故」に注意
    • 歩道走行は避けるべき
    • 動いている車は抜かないこと
  • 眠気対策
    • カフェインは日常取っていると効かないこともある
      • 【グループ】挑戦前に1~2週間カフェイン断ちしてカフェインの効果を高める対策もできる
        • メモカフェインを普段摂らない人がいきなりカフェイン剤を飲むと気持ち悪くなったりするので注意
    • 看板にひたすらツッコミを入れながら走り、眠気対策をしたりする
    • ブルベの場合は即仮眠する対策を薦める
    • ガムと飴で対策している

事前準備

挑戦前のトレーニングや準備しておいた方が良い事項です。

  • 挑戦までに300km以上を走っておいた方が良い
    • さらに休憩時間をできるだけ減らして走ってみる
  • ブルベの有効活用
    • 補給タイミングや内容を吟味し、時間短縮の訓練をする
    • 長距離走行で膝痛が起こるなどの身体的トラブルを自覚する
  • オーバーナイトランを経験しておくこと
    • 装備の検討や眠気対策ができる
  • 初級キャノンボール(東京~名古屋間の約360kmを24時間以内に走る)にチャレンジする
    • 走っておくと静岡を試走できるので本番に役立つ
    • 17時間を切れれば、本番挑戦の頃合い
  • 普段のトレーニング量
    • ある講師は年間14,000km
    • 別の講師は週末のブルベにできるだけ参加、平日は走らない
    • 【グループ】短い時間でも高強度のトレーニング回数を増やしている
    • メモ私は年間6,000km、キャノボに向けてできるだけ毎朝30分200W維持を心掛けて心肺機能を向上させた

持ち物

装備や挑戦前後の郵送についてです。

  • 余分な装備を減らすことが重要
    • パンク1回のみ許容し、それ以外のアクシデントが発生した場合は諦めるなどの線引きを行うこと
      • キャノンボールは市街地の近くを通るため、輪行袋とお金があればいざという時のDNFは可能
        • 中仙道ルートのリカバリはここでは議論しない
        • メモ自転車輸送サービスに加入すると安心
          タクシーを呼んで輪行袋に入れた自転車を運んでもらうこともできる
    • タイヤは挑戦シーズンに入った時に交換する、チェーンに注油しておく
      • 挑戦前に整備しておくことでアクシデント発生率を下げる
  • 本格的な輪行道具や着替えはゴール近くに送付することで軽量化を図る
  • サドルバッグは小さめのものにして、フロントバッグを使わずに軽量化する
  • 講師の挑戦では、ボトルはダブルで、GPS、バックミラー、トップチューブバッグを使用した
    • トップチューブバッグに補給食と時刻表を、サドルバッグにウィンドブレーカーを入れた
  • 気温の上下に対応できるウェアを用意するべき
    • 箱根はゴールデンウィークでも早朝2度などに冷え込む場合がある
    • 四月に挑戦した時は0度だった
  • 機材や装備は挑戦前に使用して有効か確認する
    • いきなり初物の投入は避ける方が良い
  • リュックやウェストポーチなど身に着ける装備は避ける
    • メモ私も負担軽減のため上記装備は避けたが、サコッシュを装備した達成者もいる
  • 【グループ】パンク修理にクイックショット(パンク修理剤)を使うのか
    • メモクイックショットを使う例を聞かない
      大きな穴に対応せず、3気圧程度なので修理後のロングライドは厳しい
    • メモ達成者はチューブ1本の装備が多いのではないか
      パッチは修理に時間がかかるのでハンデになる
      • タイヤを持たずにカットパンクして、町の自転車屋に駆け込んだ達成者もいる
        • その達成者はパンク時に1時間貯金があったので、自転車屋に行く選択をした
          時刻表大事

痛み対策

膝痛など身体的な痛みが出ることへの対策です。

  • カーボンハンドルなどで振動を低減
  • 軽いスプロケットに変更
  • 初級キャノボ以降、200kmを越えるたびに左ひざに強い痛みが発生していた
    →最上位グレードのフィッティングサービス受診を決意
    • ペダリングの膝の動きが原因と判明
      →受診後ベストポジションに調節することで、600km走っても痛みの発生がなくなった
  • 【グループ】フィッティングサービスについて
    • 病院で膝の痛みについて受診することもできる
  • 【グループ】インソールやクリートウェッジで調整する方法もある
    • ペダルを踏みすぎない、回すことを意識などで対策する人もいる
  • 【グループ】ロキソニンは効き始めるまでに数十分かかり、長続きもしないので注意
    • ロキソニンとトメルミン併用など、複数の薬を一気に摂取すると危険な症状が出る可能性すらある

ルート

主なルートの解説です。
画像や動画による解説が多いので、詳細は割愛します。
ワークショップで特に得られる知見の豊富な議題です。
興味のある方はぜひ来年ご参加ください
そして講師が作成されたYoutubeの解説も是非どうぞ。

  • 主要なルートは下記の4種が挙げられる。
    • R1(国道1号)ルート
      約550km、獲得標高2300m 獲得標高少なめ、平地多い
    • 伊賀越えルート
      約525km、獲得標高2500m 距離が短い、四日市~名古屋が走りにくい
    • 伊賀越え+R23+R246ルート
      約513km、獲得標高2500m 距離が短い、R23とR246の特定区間が走りにくい
    • 中山道ルート
      約565km、獲得標高5000m 信号が少ない、獲得標高がかなり多い
  • 些細なルートミスが命取りになることもあるので、予習するべき
    • キャノンボールのWikiやストリートビューなどで予習できる
      • 表示が古かったり、工事があったりする
    • 最も効果が高いのは試走
      • 路面状況や交通量も肌で理解できる
  • 大阪発と東京発はどちらの方が有利なのか
    • 大阪発の方が風向き的に有利なことが多い
      • 東風かつ晴れの日は稀
  • R246の自転車通行禁止箇所の抜け方について
    • 桃園あたりは隣の県道へ回避することで降車は不要になる
    • 裾野バイパスは側道に離脱する
  • 主要ルートについて
    • 日本橋~蒲原
      • 御殿場、箱根峠、熱海ルート
    • 蒲原~御油
      • 姫街道、潮見坂ルート
    • 御油~梅田
      • 石榑トンネル、鈴鹿、伊賀ルート
  • R23による名古屋市街地回避
    • R1より4km短縮できるが、ミスコースしやすく階段のアップダウンもある
      • 下見しておかないときつい。夜間は特に分かりにくいため注意
  • 清滝トンネル
    • とにかく回り道が分かりにくい
    • メモ同意。ルートを予習すべき
  • 必ずしも最短距離のルートが良いとは限らない
    • 過度のショートカットは斜度やバイパス回避がきつかったりする場合がある

時刻表

時刻表とは、地点ごとの距離と何時に通過するかを記載した自作キューシートのことです。

  • 時刻表を作成するべき
    • 達成に必要なペースを意識することで、飛ばしすぎや不安を減らせる
  • 走行中すぐに見られるところに置くこと
    • メモトップチューブバックやハンドルのフードポーチに時刻表を置く例が多い
       私はトップチューブに貼り付け、スマホのアプリにも時刻表を入れた
    • メモキャノンボール研究Wikiにもあるように、 24時間ギリギリで予定表を作成するのではなく少し余裕を持ったスケジュールにすること
  • 過去の実績を参考に、実力にあった時刻表を作成する
    • 平地、上り、下りに区間を分けて平均速度を計算し、精度を上げるべき
    • メモ市街地の信号峠は上り坂並みに速度が落ちるので、山手線沿線、静岡市、名古屋市の精度を上げるためにも試走するのが望ましい
      • なお私は試走していないため東京、名古屋、大阪で時刻表より速度が落ちた
  • スタート時刻を考慮する
    • 名古屋などの大都市は、渋滞での速度低下が大きいので夕方の走行を避けるべき
    • 東京発は10時、大阪発は6時半スタートする例が多い
      • 東京大阪が深夜早朝、小田原から横浜が深夜なのでガラガラが期待できる
      • R246を使う場合は夜まで混んでいる、混むと路肩がないなどの要因も考慮したい

決行日

実際に走行する日付の決め方や決行宣言を行うコツです。

  • 条件が良い日以外はそもそも挑戦しない
    • 雨が降らず追い風の日、季節は春か秋が良い
      • 雨予報であっても、雨具が不要な程度の日にすべき
      • 真夏や真冬はそもそも過酷な上に、トイレが近くなったり装備重量が増える
  • 決行日の決定と宣言は前日に決めるくらいで良い
    • どうしても日程をずらせない場合は風向きを見て出発地を変える対策も取れる
  • 風向きは最重要ファクタ
    • 風向き予報サイトで確認をすること
  • 睡眠不足を避ける
    • 眠気からDNFに至ることもあるので、前日までの睡眠時間を確保するべき
    • 決行3日前から8時間以上の睡眠時間を確保したい
  • ある講師のスケジュール
    • 決行シーズンに入った後
      • 休日の予定を減らし、臨機応変に挑戦可能なスケジュールにする
      • さらに1週間先までの天気予報と気圧配置図を毎日確認して決行予定日の目星を付ける
    • 決行3日前
      • 過度なトレーニングやライドを控える
      • 8時間以上寝る
      • 天気図と気圧配置図に加えて風向きも見る
      • まだ決行宣言はしない
    • 決行前日
      • 着替えなどを送付
      • スタート地点のホテルへ移動してから決行宣言をする
    • 決行当日
      • 不要な荷物を自宅へ送る
  • 平日と週末の交通状況
    • 変わる。土曜日はトラックに加えて(レジャーの)乗用車も走るので交通量が増える
      • トラックの後ろについて走るのはやめよう
    • 曜日よりも通過する時刻の方が影響が大きい

補給と休憩

補給方法やコンビニの時短対策です。

  • 消費カロリーは15,600kcal程度なので、7,500kcalは補給が必要
    • 1時間に300kalを目安に補給するべき
    • 寒い日はさらに多く補給が必要となる
    • 粉飴などで効率的に補給することが望ましい
    • 【グループ】補給は油脂分などを避けて素早く摂ることで、体に負担を掛けない
  • コンビニ回数と滞在時間を減らして停止時間を削ること
    • 5分以内/1コンビニが理想
      対策は以下
      • コンビニに寄る前に買うものをシミュレートする
      • 電子マネーを使うなど
      • 信号停止中に口に運べる食べ物を選ぶ
  • あらかじめ時刻表で決めたコンビニで60-80kmに1回などに抑えて回数を増やさない
    • 本番では200kmで補給して、その後100kmごとを目安に計4回補給した
  • 信号待ちの停止中はストレッチするなど有効活用する
  • 出発前の補給は朝スパゲティとおにぎり、前夜はカツ丼だった
    • スタート前のドカ食いはトイレにも影響する可能性も考慮すること
  • 強度が高くて胃が受け付けなくなることの対策は、脚力の底上げが有効
  • キャノボの途中で牛丼屋に寄るのは、タイムに余裕がない人にはおすすめできない
  • 達成者のFTPは250W以上あると安心
    • パワーウェイトレシオよりワット数の方が指標としては重要
    • 風向きの方がもっと重要
    • 別の講師はFTP230Wで達成した
  • トイレ休憩はコンビニに止まるたびで十分
    • メモところで「立ちション」は軽犯罪(軽犯罪法第1条第26号)

雑感

ここまでのメモで既に長文になっているので手短に。
今年は去年まで話題に出なかったフィッティングサービスの話題でグループトークも盛り上がった。
コースのトレンドも変化するなど、ワークショップでは毎年内容の改善や視点の拡大がみられる。
参加する度に新たな知見を得ることができ、ブルベなどのロングライドにも有益な情報があふれているため、興味ある方はぜひ参加しよう!
超長距離を走る変態ライダーに会いたい人にもおススメ

なお、補給については当ブルベで先日記事にした。
もし興味があるならば、こちらも参考にされたい。