これはなに?

プログラム界には「言語処理100本ノック」や「画像処理100本ノック」という、段階を踏んで徐々に難しい課題を解いていく練習問題集がある。
ロードバイクに乗り始めた人が安全かつ段階を踏んで情報を仕入れ、楽しみ方を広げるための練習問題集が本ブログ記事(以下、本稿)の目的である。

Version 1.0.3 (2019/04/16 誤字脱字修正)

目次

はじめに

趣旨

冒頭の記述通り、ロードバイクに乗り始めた人が安全かつ段階を踏んで楽しみ方を広げるための練習問題を100個挙げている。

ロードバイクを買ったばかりの時は、やる気があふれて乗る気も満ちあふれているだろう。
しかし実際に乗ってみると戸惑いや悩みも出てくるものだ。
例えば「いつも同じルートで飽きそう」「練習しても速くならない」「クラクション鳴らされた…車道走るの怖い」「イベントって何があるの」など、種類は尽きない。
そして半年も待たずにロードバイクを盆栽にしたり、他人に譲ったりする人も見てきた。

筆者が本稿を書き始めたのは、ロードバイクを買ったばかりの初心者が包括的な知識に触れながらスキルアップできるサイトや書籍が少ないと感じたことが理由である。
そして自転車走行中に前方不注意の車に突っ込まれて、まだ苦しんでいることも筆を取った理由の一つだ。

サイクリングコースやイベントを紹介するサイトはある。整備のムックもある。交通ルールの本もある。
しかし筆者はそれらが全部入りの本を知らないし、存在しても初心者は買わないかもしれない。

ということで、良いも悪いも興味がないも全部まとめて練習問題集にしてしまえば、幅広い知識や経験に触れるきっかけになると期待している。

さらに100本ノックの回答を有識者が公開してくださることで、経験に裏打ちされた知識に触れられる二匹目のドジョウも密かに狙うのが本稿の趣旨である。

ライセンス

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この作品は クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスの下に提供する。

本稿より優れた内容や安全、トレーニングなどに特化した内容に改変するのは推奨する行動である。
この100本ノックでは物足りない読者は、ぜひ課題を改善して公開してもらいたい。

本稿の読み方、使い方

使い方

あなたはやりたい100本ノックを選んで自由に取り組んでも取り組まなくても良い。

ただし本稿は『走行前の準備』の章から始まって、徐々にスキルや知識を増やしていくよう順番を考えた章立てで構成している。
特にロードバイクに乗り始めたばかりの読者は、最初に興味の薄い項目が続いていても上から順に取り組んでいくことをお勧めする。

もちろん途中で飽きてやめそうなら、興味ある項目に絞って挑戦するのも良い。
そして後日飛ばした項目に再チャレンジすれば全てOKだ。
まずは軽い気持ちで挑戦してもらいたい。

なお本稿の見出しは中~上級者向けではないが、本文でさらにステップアップできる内容が追記されている項目もある。
見出しの難易度に関わらず、本文に目を通してもらえるとありがたい。

見出し

“QXXX”は単なる通し番号なのであまり意味はない。
星の種類と数は、独断と偏見で下記の意味を持たせている。
本当に筆者の感覚で割り当てているので優先する項目の目安程度にとらえてもらいたい。

  • 星の種類
    • ☆: 自転車を運転せず、主に机上や室内で完結する筆記問題
    • ★: 自転車運転や整備作業を含む実技問題
  • 星の数
    • ☆☆☆ : 初心者にも重要な、是非取り組んでもらいたい内容
    • ☆☆  : 中級者にステップアップしたい読者の役に立ちそうな内容
    • ☆   : マニアックそうでマニアックでないちょっとマニアックな内容

注記

もし読者自身の能力では危険走行につながると思う項目があるならば、その項目は飛ばして挑戦すること。
自身にも第三者にも安全かつルールやマナーを遵守する形で取り組むことを切に望む。

本稿の中では法律やトレーニング方法を紹介するサイトにリンクしているが、本稿とは関係がないのでリンク先に直接本稿の質問をしないこと。

免責

本稿を読んだことや紹介したこと、または実践したことなどにより事故・盗難・故障・汚損その他諸々のトラブルが発生しても一切補償は行わない。
安全な装備や体調管理などのトラブル対策を心掛けて周囲の環境に十分配慮した上で実行すること。

100本ノック

1章 走行前の準備(盗難、事故対策)

盗難、事故対策のためにあらかじめ知っておくべき事項である。
最初から楽しくない章であるが、これはいざという時真っ先に必要な知識でありながら、取り扱う書籍やサイトは多くない。
そのため本稿の最初に挙げさせていただく。

この後の楽しみ方を広げる章に安心して取り組むためにも、ぜひ我慢して取り組んでいただきたい。

Q001. 自車の防犯登録情報を把握せよ[☆☆☆]

登録書類を確認してみよう。もしくは車体に貼った防犯登録シールを写真で撮るだけでも良い。
万が一に備えてすぐに提出できるようにしておこう。

販売店ではなく通販で購入した場合でも、防犯登録は義務である。(自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律 第十二条 3)

余裕のある人は防犯登録の活用方法や期限、譲渡および転居手続きなども把握すると良いだろう。

Q002. 車体の特徴が分かる写真を撮影せよ[☆☆]

万が一の備えや整備の補助をできるように、全体像および車体の特徴(あまり見かけないパーツアセンブルや隠れた傷痕など)を分かりやすく掴める写真を撮ろう。

いざという時まで写真を公開する必要はない。
この機会に世界で1台しかない愛車の写真を見ながら、傷ができた時の想い出を懐かしむのも良いだろう。

Q003. 地球ロックをせよ[★★]

手持ちの自転車鍵を使って柱などに固定する、いわゆる地球ロックを実践してみよう。
ただし歩道への駐輪などを避け、違法駐輪とならない場所で実践すること。

余裕がある場合はタイヤとフレーム全体の地球ロック方法も工夫や改善してみよう。
さらにAlterLockMAMORIOを持っている読者は、万が一盗難に遭った時を想定してスマホアプリを確認するなどの盗難対策訓練を行ってみるのも良いだろう。

本稿の100本ノックは、実技★と筆記☆に分かれる。
これは実技の準備運動のような課題である。

Q004. 緊急連絡先カードを作成せよ[☆☆☆]

シマノがレースイベント用に用意している緊急連絡先カード(pdf)などを印刷し、財布などに入れよう。

免許証を持っているから不要と考える読者がいるかもしれない。
緊急連絡先カードの所有を推奨するブログにあるように、免許証では家族の連絡先は分からない。

筆者が車に撥ねられた時は、通りかかった第三者が筆者の携帯を操作して病院と家族に連絡してくれたが、携帯が破損して意識を失った時には連絡がつかない可能性もある。
この機会に連絡先カードを作成して常に持ち運べるようにしよう。
※記載内容については次項も参考にすること

Q005. 事故で入院した直後にやることを列挙せよ[☆☆]

もしも万が一入院した直後の連絡先、やるべきことの優先順位を分かる範囲で書き出しておこう。
入院した時は意識レベルが低下する上に、手術や入院手続きで、本人はそれどころではなくなるのだ。

筆者に万が一があった時は、家族が会社や趣味サークルへの連絡、加害者との連絡先交換、保険会社への連絡などの初動対応を全面的に行ってくれた。

しかし家に子どもや介護が必要な家族、犬や猫がいるならば誰に連絡すべきだろうか。親戚に?友人に?
自身の保険会社への初報はすぐにできるだろうか(現に筆者の両親はAU保険の存在を知らなかった)

いざという時の対策は考えられる限りメモしておき、家族や頼れる知人に依頼して取り出せる場所に保存しておくことを勧める。
これは実体験からの教訓である。

Q006. 自転車保険の種類を調べよ[☆☆]

自分の保険が自転車事故に適用できるかを調べ、自転車の盗難や事故に対応する保険の種類を把握しよう。

入れという訳では決してない。
しかし存在を知っておくことで、友人からの質問に答えやすくなるし、もしこれからブルベを始めようという時に入るべき保険を吟味できる。

既に自転車保険に入っている場合は、支払いの限度額や支払い期間を確認するのも良いだろう。
そんなものは当然契約時に確認済みだという方は次の項に移ってもらいたい。

筆者が入っている保険は入院手当が出るが、その期間は事故から半年までなので、頭部の傷による1年後の入院では保険は下りなかった。(後遺障害認定はその後も出る可能性がある)
そういった制約も把握しておくと、無駄にしょんぼりせずに済むかもしれない。

Q007. 応急処置の手順をまとめよ[☆]

自分ではなく第三者が万が一にあった時の手順をまとめておこう。
想定する状況は、ロードバイクでサイクリングロードを走っていたら人が倒れていた場合でも何でも構わない。
まとめ方も、分かりやすいブログをスマホのお気に入りに入れて、いざという時すぐ見えるようにするだけでも構わない。

守るべき人がいる場合は、いざという時の行動順もシミュレーションしておこう。
まずやるべきことは意識の確認だろうか、止血だろうか、救急連絡だろうか。それとも深呼吸だろうか。

シチュエーションによってやるべきことは変わるし正解はないだろう。
しかし脳内で列挙するだけでも、いざという時にパニック状態を回避して適切な初動につながる可能性は増えると筆者は信じている。

2章 走行計画

ルートを増やし、無理なく楽しく乗るための計画立案を行う章である。
これから徐々にくだけた口調が増えていくが、そちらが筆者の素である。
決して酔って書いた時に興が乗ったからではないことを承知しておいてもらいたい。

Q008. 地図サービスで自転車走行ルートを作成せよ[☆☆☆]

ルートラボやRide with GPSなどを使用して任意の自転車走行ルートを作成してみよう。

せっかくの100本ノックで気合が入っている場合は、使い慣れたサービス以外で既存のコースを作成し、機能を比較してみるのも良いだろう。

Q009. 近隣の走行モデルコースを調査せよ[☆☆]

市区町村内や住所近隣を通るモデルコースが存在するか調べてみよう。
市役所に置いてあるサイクリングロードのパンフレットや観光モデルコース案内、自転車の書籍および雑誌、ロードクエストルートラボなどで情報を探すことができる。

インターネットサービスや自転車ブームの恩恵で、趣味の自転車乗りでも様々な情報を集めることができる環境が整ってきた。
自分でコースを考えるだけでなく、メディアや口コミで公開されている情報にも目を向けてみよう。

もし余裕と興味があるならば上記のインターネットメディアやTwitterなどのSNS、ブログに投稿するのも良いだろう。それとも…しゅっ・ぱ・ん?

Q010. 友人とのサイクリングを計画立案せよ[☆☆]

友人とサイクリングする時の計画を立ててみよう。
仲の良い友人と2人でも、初対面を含む複数人のグループライドでも自由に設定して構わない。
人数や脚力によって連絡手段、休憩ポイント、想定時間などが変化することも考慮に入れて計画を立てること。

友人が一人もいないボッチライダーの場合は…まあ、何というか気持ちは良く分かる。
いつか親友や恋人ができた時の幸福な未来を想像しながら計画立案してみるのも良いだろう。
あまりガラスのハートをブロークンしないよう留意すること。

Q011. リタイアの条件を考察せよ[☆]

走行前や走行中にリタイアを決意する条件を自分なりに考えて挙げてみよう。
微熱がある、雪が降っているなどの走行前にリタイアする条件や、膝の痛みが我慢できない、眠気でふらつくなどの走行中にリタイアする条件を考えておこう。

個人のサイクリングでは比較的裁量が大きいが、友人とのサイクリングやブルベなどでリタイアする時の連絡方法を考案しておくのも良いだろう。

Q012. レースイベント用装備のチェックリストを作成せよ[☆☆]

ヒルクライムなど自転車レースイベントで使う装備(ゼッケンやヘルメット、人によってはCCDドリンクなど)を列挙したチェックリストを作成してみよう。
ハルヒル参加時にもらったチェックリストで済ませているなど、代用品を使っているならばこのドリルはそれを表明するだけで構わない。
レースに出る予定がない人は、近隣をポタリングする時の装備品チェックリストを作成してみよう。

紙やスマホに一覧表示して指差し確認できるチェックリストがあると、筆者のようにヘルメットを忘れてDNSしそうになった人種は助かることがある。
もし思い当たる節があるならば、この機会に作成すると良いだろう。

Q013. ロングライド用装備のチェックリストを作成せよ[☆☆]

ロングライドで使う装備(ライトやツールボトル、輪行袋、人によってはテントなど)を列挙したチェックリストを作成してみよう。

有用と感じるならば、夏用に日焼け止めを、冬用にシューズカバーを追加したり、1泊用に着替えを追加するなど、季節や距離に応じて対応できるようチェックリストを分けたり、構成を工夫するのも良いだろう。

Q014. 1泊分の装備をバッグに収納せよ[★]

ロングライドをして1泊する想定で装備品を、実際にバッグやリュックへ収納してみよう。
ホテルか野宿か、宿泊後も走るのか宿泊後は輪行なのか、夜間や雨天の走行有無によって装備や着替えが変わる。
どのようなコースでどこに泊るのかは自由に設定して良い。

旅に出たい欲が高い場合は、バッグやリュックを装備して長時間走れるか、肩の負担や重量バランスが狂っていないかなど長時間運転できるか確認するのも良いだろう。

3章 安全運転

読者自身も周囲も不安にならない安全運転を心掛けるための章である。
確実に停止や右左折の意思表示ができ、転倒せずに的確なブレーキ操作を行えるよう、ドリルの内容を身に着けてもいらたい。

Q015. 交通安全対策を列挙せよ[☆☆]

自転車走行時、事故に遭わないための交通安全対策を挙げてみよう。
挙げきれないほど思いつく場合は、日ごろから特に心掛けていることや重要度が高いものを中心に5個以上列挙しよう。

余裕がある場合は、本章と次章を終えた後にこの設問を見直して回答漏れや補足すべき事項がないかを確認するのも良いだろう。

Q016. 安全を確保して減速、停止せよ[★★★]

目の前に赤信号の交差点があることを想定してこれ以上なく安全な手順で停止してみよう。

実行後に下記の設問がクリアできる手順であったかを振り返るのも良いだろう。

  1. 後方確認
    停止地点の何メートル前で確認するのが良いだろうか。
    減速しながら確認して間に合うのか。
  2. 手信号
    複数人で走っている場合やスクーターの音が後ろから聞こえる場合に注意すべきことはあるだろうか。
    右左折する前に停止する時は、どのように手信号を出すだろうか。
  3. 減速
    急制動になっていないだろうか。
    手信号と減速を同時に行うとコントロールが失われないか。
  4. 停止
    停止線や前の車両に対してどの位置に停止すべきだろうか。

Q017. 安全を確保して追い抜きせよ[★★]

停止中のバスやコインパーキングの車、シティサイクルの追い抜きを想定してこれ以上なく安全な手順で回避走行してみよう。
自身の後方10mを(軽)車両が走行しているなどの状況は自由に設定して構わない。

実行後に下記の設問がクリアできる手順であったかを振り返るのも良いだろう。

  1. 後方確認
    追い抜く対象の十分手前で後方確認できただろうか。
  2. 後続車への配慮
    後続車がいた場合は手信号や一時停止などで安全かつ分かりやすく対処できただろうか。
  3. 追い抜き時の安全確保
    追い抜き時に停車車両の脇から子どもが飛び出したり、運転席のドアが開いたり、シティサイクルが急にふらついたりした時に回避ができるよう注意や減速、十分な側方間隔の確保はできていただろうか。

Q018. 手信号を録画して視認性を確認せよ[☆]

自転車に乗る時のハンドサインを後ろから録画して、他人に伝わりやすいかどうかを客観的に判断してみよう。

もちろんボッチが走行中に録画するのは至難の業なので、家の中でスマホをセットして前傾姿勢をとりつつ背中から録画するソロ活動で構わない。
下記の手信号を録画して、太字の項目は特に明瞭なサインであるか確認するのが望ましい。

なお[Ex]の項目は正解がないが、筆者は笑顔とアイコンタクトを交えて出す手信号である。
必須項目ではないが、共感する人は[Ex]も録画して笑顔を確認するのも良いだろう。

  1. 左折
  2. 右折
  3. 停止
  4. お先にどうぞ
  5. 左に寄ってください
  6. 右に寄ってください
  7. 障害物があります
  8. 減速してください
  9. [Ex]路上駐車を避けるため右に膨らんで走行します
    ※右手を後ろに大きく広げて車にアピールする。事前の後方確認が大前提
  10. [Ex]譲ってくれてありがとう
    ※減速してくれたトラックや左折を待ってくれた車のバックミラーに向けて手を挙げてお礼する。たまにハサード炊いてくれて嬉しい
  11. [Ex]ヤエー返し
    ※手を振る。車の後部座席から子どもが「がんばぇー!」と応援してくれた時も同様

リア充の場合は、グループライドした際に手信号の視認性や頻度、タイミングがどうかを後続のメンバーに聞くのも良いだろう。
筆者はほとんど手信号を出さないメンバーに「お前、手信号出しすぎ」と言われたことがあるが、それで萎縮しすぎないよう留意すること。

Q019. 下ハンドルを持ってブレーキを掛けよ[★★]

ブラケットではなく下ハンドルを握った状態からブレーキレバーに指を伸ばしてブレーキを掛けてみよう。
ダウンヒルの基本事項なので、既にできる読者は飛ばして構わない。

山に上った後は下りる必要があるが、下り坂でブレーキをかけ続けるには通常よりも長く強くブレーキを握っていなくてはならない。
初心者がやりがちなのは、ブラケットを持ったままブレーキをかけ続けて指が疲れてしまうことだ。
しかし下ハンドルを持ってブレーキをかけることで、てこの原理が働いて少ない握力でブレーキをかけ続けることができる。

慣れてないうちは下り坂でブラケットから下ハンドルに持ち替えてブレーキをかける時にバランスを崩しそうで恐怖を感じるかもしれない。
そうならないように平地でゆっくり走りながら持ち替えからブレーキまで一連の動作を練習して、本番で慌てないようにしておこう。

さらに前輪がロックしないように、右手と左手の握り方とブレーキ制動力を把握してバランス調整しておくのも良いだろう。
なお下ハンドルでもブレーキをかけ続けて指が疲れた時は、素直に止まって握力が回復するまで休憩しよう。

Q020. 転倒しないようフルブレーキを掛けよ[★]

前輪がロックして前回り転倒しないよう体重移動をしながら急ブレーキを掛けよう。 『のりりん 3巻(ISBN-13:978-4063523720) 177ページ』または『ロードバイクの科学(ISBN-13:978-4789961653) 69ページの写真15』を参考にすべし。
※写真はロードバイクの科学から転載させていただいた

筆者はママチャリで通学中に死角から出てきた車を避けようと急ブレーキを掛けて横転したことと、ダウンヒル中の路面の穴に引っかかって前転したことがある。
とっさの判断は難しいものだが、後傾姿勢でフルブレーキを掛ける訓練は無駄にならない。

安全確認を十分に行った状態で、ヘルメットをかぶってフルブレーキを掛けて重心移動と制動距離を意識しながらフルブレーキを体験することを勧める。

もし余裕のあるスーパープログラマーの場合は、3DのVRとしてフルブレーキ体験版を開発するのも良いだろう。
わりと本気で開発されて欲しいが、筆者の技術レベルが足りない。無念である。

Q021. 転倒しないよう加重抜重して段差を走れ[★]

車道から歩道へ段差を上がる時に転倒しないよう、加重と抜重を意識して走ってみよう。

前輪が段差や石などの障害物に乗った瞬間に腕の力を抜くことでパンクや転倒のリスクを減らすことができる。
ロングライドに必須の技術として、周囲に走行車や通行人がいないことを確認してから身体に衝撃がないように段差を越える練習をしておこう。
ちなみに車道から歩道に上がる時の転倒対策は、実は抜重よりも角度の方が重要だったりする。
段差と鋭角に進行するほどハンドルを取られる可能性が高まるので、不安定な時は角度も意識するのが望ましい。

既に抜重が意識できている読者は、ガタガタする荒い車道や石畳を走る時の対策や白線の外側にあるガラス片などを拾わないための心得などをまとめるのも良いだろう。

Q022. 『思いやり運転』を実践せよ[★★★]

自動車や歩行者の視点から読者自身がどう思われているのかを忖度しながら走行し、周囲を思いやるセーフティードライブをしてみよう。

このドリルは『速くなる!栗村修のロードバイク「輪」生相談 46ページ』(ISBN-13:978-4800313034)のクラクションをなるべく鳴らされないような走り方やコツはないでしょうかを参考にして着想を得させていただいた。

残念ながら運転をしていて理不尽に感じる車に出会うこともあるものだ。
しかし読者自身が自動車や歩行者に理不尽を感じさせる運転をしていたり、急ぐあまりに『かもしれない』を怠ってヒヤリハットにつながる運転をしていないか注意深く確認しながら走ってみよう。

他人に気をつけて動きを予測し、急制動せずにハンドサインなどを出して意思疎通を取りながら走れば多くの事故(すべてとは言えない)は防げるはずだ。
ぜひ読者には模範的な走り方を習慣づけていただき、クラクションを鳴らされる状況にならない世界をもたらすエバンジェリストになってもらいたいと心から願っている。

4章 交通ルール

車道を走っていると、標識、信号、左折路線などを見た瞬間にどこを走るべきか素早い判断を求められることがある。
どこを走るべきか話を振られることもある。
自信を持って正しい道を選択できるように、道交法や教則などに触れる章である。

Q023. 自転車通行禁止の道を例示せよ[☆☆☆]

『自転車通行禁止』などの標識が掲示され、自転車すなわち軽車両が通行できない道または標識を調べてまとめてみよう。

道路交通法に限らず、路肩が狭く交通量が多いバイパスやトンネルを回避する実体験や判断基準を持つ場合は、その具体的な例を説明できるか確かめるのも良いだろう。
事前のルート作成時に「○○バイパス 自転車」で検索したり、ストリートビューでロケハンするなど、事前回避するためのノウハウを持っている場合は、ぜひ普段の対策をまとめてみて欲しい。

なお広義の道路交通法について一家言ある有識者はぜひ語っていただきたいが、二段階右折や矢羽根などに関連する設問はこの後に出てくるため、持論を展開する前にあらかじめ本章の設問を俯瞰しておくことをお勧めする。

Q024. 交通標識の意味を把握せよ[☆☆]

『一方通行』『並進可』『止まれ』など、自転車にも関連する交通標識の意味を知ろう。
さらに『軽車両を除く』『8-17』など補助標識についても把握しておこう。

余裕がある場合は『警笛鳴らせ』や『専用通行帯(路線バス)』など、論じられる機会が比較的少ない標識がある時の走行方法をまとめるのも有意義だろう。

Q025. 自転車道や矢羽根マークなど、路面に表示される交通規則を把握せよ[☆☆]

「自転車道」「自転車通行可」「矢羽根型路面表示」など、地面に描かれたマークには法定内と法定外のものが入り混じっている。
ロードバイクはどこを走るべき/走ってはいけないかを調べてみよう。
※ここで言う「自転車道」は車道の横に設置された自転車専用レーンのことを指す。

詳しく知りたい場合やグレーゾーンにもやっとする場合は道路交通法 第三章 第十七条の二交通の方法に関する教則 3章2節1の(4)のウを遵守すべきケースなどについてまとめるのも自衛のために有益となるだろう。

なお下記はあくまで一意見に過ぎないが、筆者は規則で保証される権利とは必要な時に正当な論拠として主張すべきものであり、状況の分からない第三者に対して無暗に喧伝するものではないと考える。
知らない他人のSNSの投稿に対して法令を声高に振りかざして、自転車を使わない人に問題視されることや官憲による運用が厳格化されることを望まない。
あくまで歩道は歩行者優先で徐行し、車道は安全運転と譲り合いが大前提である。
その前提に立った上で『法に叶い、理に叶い、情に叶う』ように自転車に関して活動することを読者や今後の社会に期待している。

Q026. 左折専用レーン直進時の走行ルールを把握せよ[☆☆]

複数車線のうち左折専用レーンが存在する車道を自転車で直進する時のルールを把握してみよう。

「『道路交通法 第三章 第十八条および第二十条』に従って左折専用レーンを堂々と走れば良い」と明確に回答する有識者は下記の設問にも自信を持って回答してもらいたい。

  1. リンク先の北側を西から東へ走行し、左折分岐がある場合
    高速道路への進入用レーンも類例となる
  2. リンク先の交差点に東から進入し、西北西に直進する場合

心情的には取り上げたくないのだが、自転車で長距離走行していると必ず遭遇するので設問として取り上げた。
左折専用レーンと縁石やポールの組み合わせに悩んだことのある読者は、具体例を挙げて対応方法を論じるのも良いだろう。

一つ前の設問で筆者の意見を大上段に振りかぶって唱えた理由には、「交通弱者の自転車優先だから」と危険運転したり、「法律通りだから」と進んで左折車にクラクション鳴らされないよう自衛しようという意図も含んでいる。
筆者は直進が危険な箇所では左折して最寄りの横断歩道を使い迂回する。

Q027. Y字路右折時の走行方法を論じよ[☆]

Y字路右折時にどのように走行すべきかを確認して、自身の走行方法を考えてみよう。
なおY字路をいったん左折してから右折路線に合流する場合、すぐに平均斜度5%の上りを300m走って信号を横断し、右折した場合の道に接続するまでに650mの回り道が必要なものとする。

リンク先が見づらくて恐縮ではあるが、高架下のY字路に北東方向(ヘリポートの左にある車線)から進入し、西方向に右折するような例である。

この設問は『新・自転車”道交法”BOOK(ISBN-13:978-4777946204) 62ページ』と同一の局面である。
非常に難しい設問ではあるが、多方面から考察を重ねた解答例が読みたい場合は上記の本を購入するのも良いだろう。

Q028. 従うべき信号を確認せよ[☆☆]

『歩車分離信号』はどちらに従って走るべきか、歩行者信号に『歩行者・自転車専用』標識の有無で影響があるかどうかを把握しよう。

既に上記を把握している読者は、『赤信号+青色の灯火の矢印』に従って右折・直進・左折が可能かどうかや、スクランブル交差点などのケースを確認し直しても良いだろう。

参考までに道路交通法施行令 第二条 (信号の意味等)へのリンクを貼っておく。

Q029. 上記設問以外の交通ルールを列挙せよ[☆]

ここまでの設問で取り上げたもの以外の交通ルールがあれば挙げてみよう。

下記は筆者が思い付いた具体例である。
挙げたルールに関する見解や関連法を記述するのも良いだろう。

  • 二段階右折
  • ライト点灯
  • 飲酒運転
  • 二人乗り
  • 並進不可

Q030. 不安定な運転車両が前後にいる時の対応方法を検討せよ[☆]

下記の状況など、安全に不安がある(軽)自動車を見かけた際の対処方法をシミュレーションしてみよう。

  1. 左右にふらつきながら走る車両が直前を先行している。
    ふらつく原因は(眠気かスマホか病気か…etc.)、判別できていないものとする。
  2. 左折したそうに加減速と瞬間的な左ウィンカーを繰り返す車両が並走している。
  3. 道幅いっぱいのトラックが後続車としてしばらく徐行している。
  4. 対向車が中央線を微妙に越えて走行していて、側方のトラックが左寄せするかもしれない。

この他に『かもしれない運転』をするべき状況を挙げてみるのも良いだろう。

Q031. 30m先にイヤホンスマホ学生が車道逆走してこちらに気づいていない時の対応方法を考察せよ[☆]

タイトルがすべてであり、本章のまとめでもある。
事故のインシデントになる緊急事態に備えて脳内シミュレーションしてみよう。

5章 機材・メンテナンス

さあ、いよいよ走り出す準備が整った。
しかし走り出すと、泥はねで車体が汚れる可能性もメカトラブルが起こる可能性もゼロにはできないし、消耗品を変える必要も出てくる。
長く自転車を楽しみ、何かあった時に自力で対応できるようにメンテナンスの基本を扱う章である。

Q032. パーツの名前を把握せよ[☆☆]

ロードバイクの各種パーツ名称を列挙してみよう。
例えば「ハンドル」「チェーン」「ボトムブラケット」などだ。
「サドルバッグ」や「フロントライト」「サイクルコンピュータ」など、着脱が容易かつ無くても走行に支障がない装備は(挙げるとキリがないので)除外しておこう。
ボトルケージはあまり頻繁に着脱しないが無くても走行に支障がないなど、あいまいなものは個人の裁量で判断してもらいたい。

下記は解答例である。
まずは下記を見ずに挑戦してみてもらいたい。
試しに筆者が何も見ずに列挙したところ、21点が上がった。

ハンドル、ステム、コラム、コントロールレバー、ヘッドチューブ、ブレーキアーチ、ブレーキシュー、フロントフォーク、ハブ、タイヤ、チューブ、リム、スポーク、ホイール、フロントディレイラー、チェーンリング、クランク、ペダル、ダウンチューブ、トップチューブ、シートチューブ、サドル、シートピラー、シートクランプ、リアディレイラー、スプロケット、シートステー、チェーンステー

なお、この解答例は『いちばんやさしいロードバイクメンテナンス&乗り方完全ガイド(ISBN-13:978-4262163574)』を参考にさせていただいた。

Q033. 出発前の車体点検をせよ[★★★]

お出かけ前を想定して、下記をチェックして走行に支障がないことを最低限確認しよう。

  • タイヤの空気圧が適正である
  • ブレーキシューの厚さが適正で、位置が左右にずれていない
  • ホイールの振れがない
  • ディレーラー位置やチェーン注油などが整備され、適切にギアチェンジできる

これらを常に確認している熟練者は、他に確認すべき点や独自のチェックシートをまとめるのも良いだろう。

Q034. メインバイク機材のスペックを把握せよ[☆☆]

自身の持っているロードバイクの機材について、下記のスペックなどを調べてみよう。
複数台所持している場合は、最も大事にしているものやレースで使う勝負バイク1台で構わない。

  1. フレーム、ホイール、コンポーネント
    • 筆者の例: FUJI SL1 Straight 52、MAVIC COSMIC PRO CARBON SL、DURA-ACE PF-R9100P
  2. クランクとスプロケットのギア比
    • クランク: 11S 52-36、スプロケット: 11S 11-28T
  3. 他の機材
    • サドル: Pro Stealth 142mm、ペダル: PD-R9100、etc…

上記は1から順に話題にされやすく、重要度が高いと筆者が勝手に思って並べている。
機材の名称なんて当然知ってる読者は、特徴および選んだ理由、重量や値段もまとめておくと飲み会で役に立って良いかもしれない。

1番はロードバイク乗りが呼吸をするように聞かれるのだ。
答えられないと「あー…」という空気になるかもしれない(実体験)。
2番は機材に詳しい人から「アイツ53/39で12-25なのに上りも行けるってヤバくね!?」と同意を求められたりするのだ。
筆者は「あー、それヤバいな!」って返すけど分かってないから内心ヤバい。
3番はロードに詳しいキャラ扱いされると、初心者から購入時の相談されることがある。
筆者は詳しくないのに「サドルは硬さだけじゃなくて~」などとそれっぽいことを言って、お茶を濁そうとするヤバい輩だ。

このような悪い見本にならないよう、愛車のスペックを把握しておくと良いだろう。

Q035. タイヤを脱着せよ[★★★]

突然のパンクに備えて、ロードバイク乗りに必須の技術であるタイヤ交換を行ってみよう。
新品のチューブやタイヤを持ち出す必要はない。
現在装着しているタイヤとチューブを外して再装着するだけで良い。
パンクしていないチューブを取り外す時はタイヤレバーでチューブ自体を傷つけないように注意してほしい。

パンク修理なんてお茶の子さいさいな読者は飛ばしても構わないが、この機会にチューブパッチやタイヤブートなど持っていても使ったことのない応急処置があれば使ってみても良いだろう。
チューブパッチを使う前にスネークバイトやタイヤに刺さった金属片を確認するなど、二次災害を引き起こさないリカバリ方法を確立すればなお良しである。

Q036. 小型ポンプやCO2ボンベで適正な空気圧を再現せよ[★★]

屋外での急なパンクを想定して小型ポンプやCO2ボンベで空気を入れた後に気圧を計測してみよう。
神は言っている、同一のポンプを使って同一のポンピング回数ならば同一の気圧になると。
参考記事  

常に気圧メーターを携帯する読者には関係ないが、いざという時に気圧メーターを持っているとは限らないのではないだろうか。
完全に空気を抜いたチューブを使って、携行する小型ポンプでポンピングして適正な空気圧まで入れる回数を把握すれば、アクシデントの時も安心である。
おそらくドリルを達成した日は腕が犠牲となるが、根性でカバーすること。

CO2ボンベを持っていて未使用の場合はこの機会に使っておくことをお勧めする。
練習でCO2ボンベを使うのはもったいないと感じるだろうが、1度もCO2ボンベを使った経験やボンベを使った後の気圧を測ったことが無ければ練習しておいた方が良いだろう。
筆者はグループライドでパンクした時に初めてCO2ボンベを使ったが、コックの締めが甘い状態でボンベを開いて空中にCO2を散布した苦い経験がある。
また冬にボンベを素手で触って使用し、指がボンベに貼り付けて凍傷になりかけた経験もある。

数百円使って訓練することで悲劇を防げるなら安いものだ。
誰かタイムマシンを開発した暁には、7年前の筆者に上記のアドバイスをしてあげて欲しい。

Q037. シューズからクリートを脱着せよ[★★]

シューズのクリートを脱着してみよう。

当然消耗品のクリートを外した後に着け直してみよう。
未体験の読者は「取ってはめるだけだろ」と甘く見がちであるが、けっこうズレる。
交換に慣れていない場合は、テープなどを使ってマーキングしておくと良いだろう。

クリート交換に慣れているなら現在の位置や角度が適正であるかチェックするのも良いだろう。

Q038. チェーンを脱着せよ[★]

いつか自分でやるかもしれないチェーン交換の予行演習として、チェーンを外した後に着け直してみよう。

「えっ!?チェーンって交換するの?」と思われがちだが、チェーンは消耗品だ。
チェーンを回して数十キロの物体を数千キロも移動させるのだ。
いかにチェーンが硬質な金属であっても摩耗してたるんだり、最悪の場合外れてしまうこともある。

チェーンカッターやピンといった機材への投資が必要となるが、消耗品である以上は毎週長距離を走る読者は購入しても元が取れるかもしれない。
チェーンが汚れている場合には、外したついでに洗浄するとこの後の清掃ドリルにも関係してくる。

既にチェーン交換をしたことがある読者は、出先のトラブルシーンを想定して携帯工具やミッシングリンクを使ってみるのも良いだろう。

Q039. ペダルを脱着せよ[★]

ペダルも外した後に着け直してみよう。
外したついでにグリスアップすると、この後の清掃ドリルが満点に近づいて良いだろう。

遠出をしない読者は「ペダルなんて取らねーよな」と考えるかもしれない。
筆者もそう考えていた。
しかし脱着ストーリーは突然に起こるのだ。

それは筆者が沖縄から飛行機輪行で帰る前夜のことだった。
普通のソフトシェル輪行袋より少し頑丈なOSTRICHのOS-500をホテルに送付しておいた。
行きは輪行袋を使わなかったので、OS-500はこれが初体験である。
輪行袋なんてどれも似たようなものだと思っていたのが浅はかだった、どうしても入らない。
否、ロードバイクは入るのだが、チャックが閉められないのだ。
ペダルを外せばチャックは閉まりそうなので、小さなレンチで苦戦する羽目になった。
結局何とか片方ペダルを外して収納できたが、1時間格闘して汗だくになるほど硬かったことを付記しておく。

Q040. 車体を清掃して注油せよ[★★★]

チェーンやディレイラー、スプロケットを含めて車体を清掃しよう。
初心者でもチェーンの注油までやってみることをお勧めする。

整備の基本は清掃である。とは某女神さまマンガの受け売りだ。
しかし清掃することで故障の前兆を早期に見出すことができる。

注油した経験がなかったり普段の注油では適当に済ませている読者は、ベタベタにならない注油量であることや、ハブやブラケットなどの注油してはいけない箇所も確認するべし。
清掃と注油に慣れている読者は水とディグリーザーで洗浄してワックスがけやグリスアップまで行うと良いだろう。 愛車がピカピカでカッコよくなる上に走行性能も上がって至れり尽くせりである。
むしろ『良い』ではなく満点花丸とすら言える。

Q041. ブレーキシューを脱着せよ[★★]

ブレーキシューを脱着してみよう。

脱着ドリル最後の刺客である。もちろんブレーキシューも消耗品だ。
硬いホイールに柔らかいシューを当てれば、徐々に削れていくのは宇宙の法則世界の基本なのだ。
「『宇則世本』とか懐かしい4コマのタイトル出してきたな」という小ネタが分かろうと分かるまいとどちらでも良いだろう。
しかしブレーキシュー交換は経験して損しない技術である。

『消耗品』を繰り返して脱着ドリルが続くことにウンザリする読者もいるかもしれない。
決してドリルの数を上乗せするだけの行為ではない。ないったらないのだ。
ただ筆者から一言添えるならば、「脱着ドリル全部やった人、すごくえらい!」。以上だ。

Q042. バーテープやワイヤー交換など、上記以外の整備をせよ[★]

ここまでにやった清掃、調整以外の整備をやってみよう。
やることを思い付かない読者は下記からひとつ選んでみてほしい。

  • スプロケットを外して清掃
  • バーテープ交換
  • ブレーキ、シフトワイヤー調整
  • シフトワイヤー交換

普段やらないレベルの整備作業に挑戦することが本項目の趣旨である。
安全第一で作業後の点検も万全に行おう。

もはやワイヤー交換に慣れていてホイールの手組、クロモリフレーム溶接も自力でやっているゴッド読者は飛ばしても良いです。

6章 装備

ライトやウェアなどの装備は、ライドごとに取捨選択できるカスタマイズ要素だ。
この章を通じて装備の使い方を把握し、適切な組み合わせを選択できるようになろう。

Q043. ヘッドライトの有効範囲を把握せよ[★★]

ヘッドライトがどこまで届くか確認しておこう。
ライトの角度によって何メートル先まで照らせるかは変わる上に、『どこまで』という基準は距離のみで測れない。
夜間走行が多い読者は、下記例のように総合的な視点でヘッドライトの実力を把握しておくと良いだろう。

  1. 巡航速度で走っている時、十分に路面を照らしている先を通過するまでに何秒かかるか
    • 走りながら路面に小石や動物が見えた時、安全に避けられる速度は何km/hくらいか把握するのが望ましい
  2. 街灯がなく暗い道や雨天時に安全を確保できるか
    • ハイやローなど複数のモードがある場合や複数のライトを持っている場合、状況に応じて使い分けられるのが望ましい
  3. 対面歩行者や車両に対して眩しい角度でセッティングしていないか
    • 対向自動車のハイビームで幻惑されたことはないだろうか。
      自転車のハイビームでも同様に対向から来る相手に危険を与えないことを、ライトを点けておいて対向から視認して確認することが望ましい。

Q044. 暑さ対策を挙げよ[☆☆]

真夏日、自転車に乗る時の装備や補給などで工夫していることをまとめてみよう。
水分、ミネラルの補給量、昼の休憩で日焼け止めを塗り直すなどの工夫や冷感インナーなどの装備を見直そう。
もしくは最高気温が35度以上ならば乗らないなどの対策でも良い。

また暑さ対策に失敗した時、めまいや発汗が止まるなどの症状を挙げて熱中症の予兆を察知できるようにすると、さらに良いだろう。

Q045. 寒さ対策装備を挙げよ[☆☆]

気温が0度以下で自転車に乗る時の装備や補給などで工夫していることをまとめてみよう。
重ね着や、ダウンヒル前にカイロとウィンドブレーカーを追加などの工夫や装備を見直そう。
もしくは路面の凍結が見込まれるならば乗らないなどの対策でも良い。

また寒さ対策に失敗した時、手の感覚がなくブレーキが握れない、橋の上でスリップなどの症状を挙げて危険の予兆を察知できるようにすると、さらに良いだろう。

Q046. 輪行袋に自転車を収納せよ[★★]

輪行袋に自転車を収納してみよう。
電車輪行を想定している場合は車体の一部が露出しないのを確認するのが望ましい。
既に使い慣れている読者はタイムアタックに挑戦するのも良いだろう。

筆者は初めての輪行でチェーンカバーを掛ける時に手を油まみれしたまま、使い方が謎のリアエンドを持って棒立ちになった。
輪行袋は出先で使う前に、自宅で資料を見ながら一度練習しておくことを勧める。

輪行袋は自転車トラブルの時に頼れるものだ。
三種の神器の一つと言っても良いだろう。
残りの二種はパンク修理用具、電話での家族SOS、自転車ロードサービス、諭吉先生/渋沢さんそして徒歩の脚力である。
なお、三種と言いながら六種となっている点は頭がパンクしているだけで他意はない。

7章 実践!楽しく走るために

おめでとう。
ここまでのドリルで計画を立て、適切な装備を身にまとい、自信をもって走り、トラブル対応もできるようになった。
自由に飛び回るための翼を得たのだ。

さあ走り出そう。
そして次に目指すべきは、雨や風に悩まされることなく快適なライドをして、最高の思い出を残すことだ。
この章を通して、そのノウハウを実践的に身に着けてもらいたい。

Q047. 雨雲レーダーを活用せよ[☆☆]

インターネットまたはアプリケーションとして公開されている雨雲レーダーを使ってみよう。
雨雲レーダーによる予測は雲が厚くなった時や降り始めた時の指針を示す、自転車乗りの強い味方となる。
走行時にスマホから確認できるようにアプリのインストールやサイトのブックマークをしておこう。

既に活用している人は風予報のサイトも活用すると良いだろう。
いつか海外遠征したい読者はフランスや台湾など、行きたい地域の天気予報サイトや降水量を調べておくと役に立つかもしれない。

Q048. ヘルメットや木の棒を使って自転車を直立させよ[★]

ヘルメットや木の棒をなど使って、柱やガードレールに立てかけずに自転車を直立させてみよう。

SNSやブログの写真を見て、「ロ、ロードバイクが支えなしに立ってるー!?」と不思議に思ったことはないだろうか。
あれはマジックでも瞬きする間もなく一瞬で撮影した訳でもない。
表題の道具とペダルのバランスを取ったり、リアエンドと地面をアクリル棒で繋いで直立するように見せかけている。

風のない日に直立させて、インスタ映えする写真撮影に挑戦してみて欲しい。
くれぐれも転倒に注意すること。

既にノウハウを知っている場合は、棒やヘルメットを見せずに美しく写真をとる構図を考察するのも良いだろう。

Q049. グロス16km以下でゆるぽたせよ[★★]

ゆっくり走る訳ではなく、休憩ポイントの数や時間を増やして優雅に走ってみよう。
グロス16kmとは全行程の平均速度を16km/hで走ることを意味する。
すなわち、30分で160kmを走破して19時間休憩した後にまた30分で160kmを走って帰宅すれば、グロス16kmとなる。
この場合の巡航速度は320kmなので、アウトバーン以外で実践するのはお勧めできない。

グロス16kmはこのドリルの最高速度である。それよりもグロス10kmなど長ければ長いほどこのドリルの趣旨に合っている。
この機会に興味はあっても入ったことのないお店や観光地に寄ったり、スタンプラリーに参加するのも良いだろう。
ただし交通量の多い道での事故や長時間駐輪の盗難など、ゆるぽたを妨げるトラブルに十分注意すること。

Q050. 順風、逆風の効果を体験せよ[★]

風による速度差を体験してみよう。
あらかじめ風速を調べておいて、サイクリングロードなどを往復した時に、出力(ワット数や心拍数)が同一下の速度差および速度が同一下の出力差を書き出してほしい。

できれば軟風以上が望ましいが、強風下などで安全に支障が出ないよう注意すること。
計測機器がなければフィーリングで構わない。

Q051. ライドにおけるカロリー、水分、塩分の概算消費量と補給量を求めよ[☆☆]

読者がロングライドした時のカロリー、水分、塩分の消費量と補給量を概算で求め、需給バランスが取れているかを考察してみよう。

運動強度や温度、ゆるぽたかレースかなどの要因で消費量も補給量も大きく変わるため、過去のライドをピックアップするかモデルケースを想定しておき、その条件下の値を求めるのが良いだろう。
カロリーはMETSから比較的容易に計算できるが、水分や塩分は計算が難しい。

過去に水分が足りないと感じたライドがあれば、その時の給水量を基準に水分補給の安全圏を把握するだけでも良い。
補給の適量が分かればコース計画時に休憩する距離の指針となり、明るいゆるぽた計画も立てやすくなる。
そのため、読者自身の需要と供給を確認しておくことをお勧めする。

Q052. 初心者との走り方を考察せよ[☆]

初心者や走力に差がある相手と楽しくツーリングするための走行方法や気を遣うべき点を考えてみよう。

他人とツーリングする時に、速すぎず遅すぎない速度で、交通ルールを守り、後続車をナビするために心がけるべきことは何だろうか。
または読者が他人とツーリングした時にやってもらって嬉しいことがあればまとめておくと役に立つだろう。

なお筆者は自身が上級者と走る時に迷惑をかけないか心配しまくる性格だが、「上級者との走り方」はドリルとして成り立たないので提示しない。
他人と一緒にツーリングする以上、上級者ほど相手を気遣ってくれるものだ。
筆者個人の意見だが、相手に「キミ遅いねー」「もっと良い機材にしないの?」などとマウントを取ってきたり、危険走行をする自称上級者と協調する方法は、対人スキルであって自転車スキルから離れているのではないかと思う次第である。

閑話休題。
メンバー全員が良識を持って上から目線でも謙遜が過ぎるでもなく、対等に接して楽しいライドにする方法を考察するのも良いだろう。

8章 トレーニング事始め

本稿はロードバイクを楽しむための要素へ多角的に触れていく。
速く走ることができれば、その分遠くまで余裕を持ったスケジュールで回ることができる。
適切な食事やストレッチで、疲労を軽減することもできる。
そのためのヒントを得ることが、この章の目的である。

Q053. トレーニング用の自転車周回コースを考案せよ[☆☆]

周回コースである。ドリルの手始めとしてトレーニングに使えるコースを考えてみよう。
下記の要件を満たせば満たすほど良い。

  • 全長数キロで、何度も周回できる
  • 川沿いのサイクリングロード右岸と左岸周回など、安全に走行できる
  • 居住地から近く、手軽に行き来できる

既にトレーニングコースを決めている場合は、コースの見直しをしたりコース自体をStravaに登録しても良いだろう。

Q054. 準備運動と整理運動を行え[★★]

ロードバイクで身体を傷めないために、乗る前の準備運動と乗った後の整理運動をやってみよう。

自転車は比較的負担の少ないスポーツと言われるが、長距離走ると膝や腰に負担がかかる読者もいるだろう。
ライドの前後に準備運動と整理運動を試して、自身にマッチした準備運動と整理運動メニューを考えてみて欲しい。

既にメニューを作って実践している読者はこの機会に公開して推しポイントを語るのも良いかもしれない。

Q055. 効率的なカーボローディング方法を調査せよ[☆☆]

レース前からレース直前、またはレース中を含めた効率的なカーボローディング方法を検討してみよう。
レース前の1週間で炭水化物を増やすと持久力が増えるだろうか。レース直前に食べるのは何が良いだろうか。グランツールのプロを見習ってパスタ?日本人ならおにぎり?

レース中のカーボンは不要かもしれないが、CCDドリンクなどレース中に補給すべきものは何だろうか。
このようにレースでベストを尽くすためのベストチョイスを考察しても良いだろう。

Q056. プロテインや回復走など、効率的な回復方法を調査せよ[☆☆]

レースなどで疲労した時に回復するためのメソッドを検討してみよう。

運動直後のプロテインドリンク摂取や翌朝の回復走を試して、それらを試さなかった時との回復量の違いを比較考察することは無駄にならないはずだ。

筆者はロングライドした夜にプロテインを飲むと、翌日の回復が早まるように感じる。
このように筋力増強や回復走の効果を実感するほど走りこんでなくとも、まずは試してみて回復効果を計測するのも良いだろう。
ただしいきなり大袋を買うと賞味期限が切れる可能性があるので、割高でもまずは小袋や液体パックから試すのも良いかもしれない。

Q057. 停止からトップスピードを出すまでの秒数を把握せよ[★]

インナーローとアウタートップで、それぞれ停止状態からトップスピードを出すまでに何秒かかるかを計測してみよう。
実践ドリルの手始めではあるが、この秒数を把握しておくと赤信号から巡航速度に乗るまでの負荷や時間感覚をつかめるかもしれない。

余裕のある読者は上りや平坦などの状況に応じて、スタート時に最適なギア比を考察するのも良いだろう。

Q058. 平常と高付加の心拍数を計測せよ[★★]

寝起きや運動前と限界まで自身を追い込んだ時に心拍数を測ってみよう。
そうすればイベントの朝に計測して、健康な時の寝起きの心拍数から大きくずれているなら体調不良のサインに気付けるかもしれない。

筆者の周辺にはパワーメータを持っている人があふれているが、高価なパワーメータを持たずに心拍数でトレーニングの負荷を管理するのが一般的だ。
高付加の時の心拍数を把握しておくと、練習と体調管理のどちらの観点でも活用できることだろう。

把握したデータから心拍ゾーンを計算するのも良いだろう。

Q059. ケイデンスを30回転上げろ[★]

平常時のケイデンスから30回転上げてみよう。
某マンガ主人公の凄さを感じ取ることができるはずだ。

ギア比を通常通りでケイデンスを30上げると命や脚の危機を感じる場合はギアを落としても構わない。
ケイデンスを30上げられた場合はさらにツークリックしてギアを上げて鼻歌まじりでダンシングするのも良いだろう。
スピードや音量出しすぎによって身体的または社会的に事故らないように、あくまで安全第一を意識すること。

Q060. 白線縛りなどで左右にブレることなく走行せよ[★]

ある交差点から次の交差点まで道路の白線の上以外はマグマである。
上記のようなルールに従って左右にブレることなく走行してみよう。

縛りプレイ5連戦、第一のドリルである。
このドリルの趣旨はまっすぐに走るバランス間隔を身に着けることだ。
交通の妨げにならないよう留意しながら、最小距離で無駄なく走れるようにチャレンジして欲しい。

Q061. 片足縛りでスムーズなペダリングをせよ[★]

クリート付きペダルを持っている読者は、片足のみクリートに嵌めて引き足を意識しながらスムーズにペダリングしてみよう。
上死点や下死点などで引っ掛かりを感じることなく、引き足も使って綺麗に回せていると自己申告できれば、このドリルは達成である。

このドリルは筆者が自転車屋の店主(実業団のコーチもしたことがあるとのこと)に習ったトレーニング方法である。
「引き足って何?食べ物?」「踏めば良いんだよ、踏めば!」と思う読者が取り組んでみることで、筋肉を無駄なく使って回すようなペダリングを実感するきっかけになるかもしれない。
片足ペダリングでネット検索すると、否定的な意見も散見されるがここでは議論しない。
癖がつかない程度に片足ペダリングをやった上で論理的に否定するならば、それは価値があることだと思う。

パワーメータを持っている読者は、パワーメータを使いながら片足ペダリングしてみることで自身の特徴や両足ペダリングとの差異を把握するのも良いだろう。

Q062. フルアウター縛りで平常時とタイムを比較せよ[★]

フルアウター(前輪、後輪ともに最も重いギアのこと。アウタートップともいう)縛りでトレーニングコースや峠を走り、平常時とタイムの差異を比較してみよう。
膝や脚にダメージを与えないよう注意すること。

比較する項目がタイムであるのは、あくまで差異が分かりやすい指標であることが理由だ。
このドリルの趣旨はフルアウターによる負荷や速度への影響および疲労度を考察し、適切な使いどころを見出すことである。

上級者は平地や峠など斜度による影響の多寡まで考察するのも良いだろう。

Q063. インナーロー縛りで平常時とタイムを比較せよ[★]

インナーロー(前輪、後輪ともに最も軽いギア)縛りでトレーニングコースや峠を走り、平常時とタイムの差異を比較してみよう。

趣旨や注意点は手前のドリルと同じである。
このドリルと前のドリルから、次回自転車を買う時の適切なギア比を皮算用するのも良いだろう。

Q064. ダンシング縛りで平常時とタイムを比較せよ[★]

ダンシング(サドルに座らない)縛りでトレーニングコースや峠を走り、平常時とタイムの差異を比較してみよう。

趣旨や注意点は手前のドリルと同じである。
このドリルを通じて、ペースアップをする「攻めるダンシング」で息切れするまでの時間や息切れから出力が回復するまでの時間を把握しておくのも良いだろう。

Q065. 「休むダンシング」を習得せよ[★]

シッティング(サドルに座って漕ぐこと)で受けた筋肉の疲れを回復するための休むダンシングを知ろう。

上記のリンク先または『速くなる!栗村修のロードバイク「輪」生相談 54ページ』(ISBN-13:978-4800313034)などを参考に、休むダンシングを体得するのがベストだ。
しかし高度な技術であるため、休むダンシングの知識を得て挑戦し、結果をまとめることで達成としても問題ない。

山をひとつダンシング縛りで登って基本のダンシングを知ることで、さらなるタイムアップを目指すのも良いだろう。

9章 更なるトレーニング

サイクリングロードを走っている時、速いロードバイクに後ろからスパッと抜かれて憧れたことはあるだろうか。
ヒルクライムに挑戦して、タイムを上げたいと思ったことはあるだろうか。
そんな読者向けに適切なトレーニングをするために知るべき用語や方法を紹介し、試してみることがこの章の趣旨である。

Q066. FTPを計測せよ[★★★]

FTP(Functional Threshold Power)を計測してみよう。

FTPとは自転車乗りが1時間維持できる限界の出力である。
1時間回せない高出力でも1時間以上回せる低出力でもない、1時間維持したらもう乗れなくなるほど力を尽くして漕いだ時の平均ワット数のことだ。

-算出方法は簡単。1時間で力尽きるように漕ぎ続けてワット数を計測することだ。
ただしとてつもなく辛いので、挑戦時は体調を万全にしておくべき。-

現実的にはリンク先の方式のいずれかを使って計測すると良いだろう。
方式ごとに長所や短所をまとめたサイトもある。

既にFTPを把握している読者は、前回計測した方式と別の方式で測り直してみるのもアリかもしれない。

Q067. 最大パワーを計測せよ(L7)[★★]

ローラー台など安全な場所で、とにかく全力で漕いで読者自身の最大パワーを計測してみよう。
前のドリルをこなしてFTPを計測しておくことでL1~L7まで、パワー・トレーニングの指標を得ることができる。

L7はFTPに関係なく全力全開でもがいた時のワット数だが、現在の実力を把握する指標のひとつである。

Q068. 最高ケイデンスを計測せよ[★]

事故に気をつけながら、長い直線の下り坂でインナーローにして全力でペダルを回すなどの方法で読者自身の最高ケイデンスを計測してみよう。

このドリルは徐々に、スピードアップにつながる本気のトレーニングに触れていくことになる。
本章のドリルをすべて終えた後、タイムやケイデンスを計測するドリルを再度行ってトレーニングの効果を測るのも良いだろう。

上体がブレてうまく回せないなどの悩みがある場合は、三本ローラーでの高速回転練習について教えて下さいなどを参考に調整してみてはいかがだろうか。

Q069. 最大心拍数の70%~80%を30分維持して走行せよ(LSD)[★★]

最大心拍数の60%~70%を30分間維持しながらローラー台やサイクリングロードを走行してみよう。
いわゆるLSD(Long Slow Distance)のことだ。

自転車乗りの会話でLSDという単語は良く聞くが、LSDの定義を答えられる人はそれほど多くないかもしれない。
この機会にLSDとは何かを理解しておき、読者自身の実力に合ったLSDの負荷も体験しておこう。ダイエットにもなるぞ。

Q070. VO2max(L5)トレーニングを(3分ハード+3分イージー)×3セットで実践せよ[★]

以下の要領でVO2maxトレーニングというインターバルトレーニングをやってみよう。
本気できついので覚悟してやってみよう。

  1. FTPの106%~120%の出力で3分間漕ぐ
    • ※FTPを計測していない場合は5分間でオールアウトする(もうまともに漕げない状態になる)出力を目安にすること
  2. 上記の半分程度の出力で3分漕ぐ
  3. 1と2を計3回(残り2回)繰り返す

「練習が仕事、競技は集金」とは競輪選手の言葉だそうだが、これと次のワークは本番で勝つためのワークである。
それでも1度は耐えてみて、自転車をあらゆる角度から楽しみ、プロの凄さも覗き見できる体験学習につなげるのも良いだろう。ダイエットにもなる…かどうかは読者次第かもしれない。

Q071. タバタトレーニングを実践せよ[★]

日本が誇るタバタトレーニングを実践してみよう。
やり方は簡単、下記の通り短時間でできて持久力が高まるシンプルなトレーニングである。
なお、リンク先の注意書きにあるように高血圧や間接に異常がある場合はむやみに行わずに医師に相談しておくこと。

  1. ローラー台に乗ってウォームアップ程度に回す
  2. 20秒間全力で回す
  3. 10秒間力を抜いて休む
  4. 2と3を計8回(残り7回)繰り返す
  5. クールダウンする

シンプルなトレーニングであるが、こちらもきついので覚悟して転倒などしないよう注意すべし。

Q072. TSSなど上記以外のトレーニング用語を把握せよ[☆]

TSS, TSB, CTL, ATL, IF, NP, PWRなどのトレーニング用語を調べてみよう。
速い人達は「昨日TSSが200超えちゃってさー」など、これらの用語を日常会話に用いる。

特にTSSはリカバリータイムなどを割り出す指標になるらしく、意味を知っておいて損することはないはずだ。
もし読者がこれらの用語を使いこなしている場合は、最近のトレーニング実績と比較してさらに質の高いトレーニングを組むのも良いだろう。

Q073. 室内で可能な筋トレを行え[★]

ロードバイクへの効果が期待でき、室内で可能な筋トレをやってみよう。

自転車に乗れば筋トレ不要という意見もあるだろう。
しかし、天候によって外やジムに出られない日もある。自転車を全部修理に出してローラー台に乗れない日もある。ローラー台が壊れて乗れない日もある。
そういった日が続いた時や深夜でもできるトレーニングを考えておくと、いつか役に立つこともあるだろう。

筆者がスポーツジムに通った時の個人的感想だが、腕と体幹トレーニングを続けておくと前傾姿勢でロングライドを続けても疲れにくくなる効果があった。
自転車では鍛えにくい部位を強化するトレーニングメニューを考えるのも良いだろう。

なお、膝や腰が痛い時や入院中に筋トレをしたくなる気持ちは分かるが、回復期間に無理はせずTPOをわきまえて筋トレをすることをお勧めする。

Q074. 1週間のトレーニング計画を立てて実践せよ[★★]

ここまでの知識を活かして1週間のトレーニング計画を立てて実践してみよう。

高付加のトレーニングを毎日がむしゃらに行うのではなく、使える時間とTSSを考えながらメニューを組むことが望ましい。
日常的に負荷を意識してメニューを立てている場合は、1週間の翌日がレース当日だと想定してATLがCTLを大幅に上回らず当日のTSBが最高の値になる調整をするのも良いだろう。(何を言っているのか分からない場合はQ72を復習すべし)

下記2つのドリルも同時に進められる可能性もあるので、着手する前に下記のドリルも読んでから計画を立てることもお勧めする。

Q075. 1ヶ月に5回以上同一のコースでタイムを計測し、練習の効果を考察せよ[★★]

短期間に同一コースを走行してタイムを測定することで、日々のトレーニングやコースプロフィールを把握することがタイムにどのような影響を与えるかを考察してみよう。

周回トレーニングコースを1日で5回周回すればこのドリルの要件を字義的に満たすが、ドリルの本当の目的は定期的なトレーニング結果をまとめることで上記の後半を実感することだ。
1ヶ月に5回以上というのはあくまで目安の数値なので、定量的な結果を得られれば週2回走って10回計測でも何でも構わない。

もし既にドリルのような定型コーストレーニングを実践している場合は、よりロングスパンでデータを分析して最も良い結果につながった練習内容や季節を深く考察しても良いだろう。

蛇足ではあるが、筆者はトレーニングをダイエットのようなものと思っている。
前回より遅いタイムの揺り戻しもあるが、漸進的にタイムが上がって健康にも影響のないトレーニングならば停滞期があってもうまく行っているはずだ。
個別の悪い結果で落胆することなく、長い目で見ながらトレーニングを続けていってもらいたい。

Q076. ヒルクライムコースの目標タイムを立てて走行し、達成せよ[★]

表題通りヒルクライムコースの目標タイムを立てて走行し、達成しよう。
目標が高すぎると達成が困難になるので、過去のベストにとらわれずに現在達成できそうなタイムを設定しよう。

何度か挑戦して目標タイムが達成できない場合は、ここまでのトレーニングを見直すか、目標を見直すのも良いだろう。

10章 運転技術

さらに安定した運転を実現するために、運転技術を向上させることがこの章の目的である。
本章では、急ブレーキなどの安全運転に直結する技術とは異なるものの走行時に役立つ技術を扱う。

Q077. 八の字走行を行え[★★]

自転車走行できる広場などに目印(空き缶など)を2つ置き、それを崩さないように最小距離で八の字走行をしてみよう。
転倒の危険もあるのでヘルメットは忘れずに装着すること。

このドリルの目的はハンドリング能力を身に着けることだ。八の字の感覚は短ければ短いほど良い。

Q078. フロントアップに挑戦せよ[★★]

自転車に乗ったまま前輪を持ち上げるフロントアップに挑戦してみよう。

前輪が浮いている時間は一瞬で構わない。
ヘルメットをかぶってビンディングを外して挑戦すること。
これができると歩道に上がるなど小さな段差を超える時に便利なことがある。

既にフロントアップを習得している場合はリアアップやバニーホップに挑戦しても良いだろう。
なお具体的な練習方法は検索すると出てくる。

BMXが日本でも取り上げられる機会が増えたので、それに関連するドリルを3つだけ取り上げる。
良く知らないが興味のある人はBMXの動画を見れば、その技術の凄さに驚くはずだ。

Q079. ホッピングに挑戦せよ[★]

前輪と後輪を両方持ち上げてジャンプするホッピングに挑戦してみよう。

ジャンプする時間や高さはほんの少しで構わない。
ヘルメットをかぶってビンディングを外して挑戦すること。

なお具体的な練習方法は検索すると出てくる。

Q080. スタンディングスティルに挑戦せよ[★]

地面に足を着かずに停止するスタンディングスティルに挑戦してみよう。

停止している時間は数秒で構わない。
ヘルメットをかぶってビンディングを外して挑戦すること。
これができても公道でやることは推奨しないが、スタンディングスティルの技術が身に着くと赤信号の停止前や出発前の安定感が大幅に上がり、立ちごけのリスクも低減できるはずだ。

なお具体的な練習方法は検索すると出てくる。
また『ロードバイクの科学(ISBN-13:978-4789961653) 102ページ』にも記載されている。

Q081. 自己の脚質を考察せよ[☆]

スプリンター、クライマー、パンチャー、オールラウンダー、ルーラーなど、脚質がどの分類にあたるか考えてみよう。
ちなみに貧脚という分類は存在しない。

ロードバイク乗りの会話ではそれなりの頻度で出てくる話題であるので、100本ノックに概念だけでも載せるため、ドリルとして掲載しておく。
筆者はプロ以外が脚質と言ってもあまりピンとこないが、ここでは議論しない。

ちなみに「とりあえず年間2万キロ走ってレースで上位に食い込んでから。脚質とか考えるのはその後だ」などと正論のような論を説いちゃうと、ロードとササミだけが友達になったりするので止めるのが無難だろう。
トレーニングの章のドリルをこなすことで、ヒルクライムが好き、平地のスプリントが得意、速度を守って淡々とローラーを回せる、など好きな地形や得意な走り方が見えて来たかもしれない。

まだ脚質は分からなくとも、クライマー気質っぽいなどの傾向が分かればドリルの成果としては上々ではないだろうか。

11章 ロングライド

本稿をここまでこなしていれば、近距離のライドには困らないだろうし、中・長距離に必要な運転技術も身についているはずだ。
この章は実走に関わる最後の章として、ナイトライドや宿泊を含む超ロングライドへステップアップできる知識を身に着けることが目的である。

Q082. フル充電や電池交換した機材のランニングタイムを調査せよ[☆☆☆]

手持ちのフロントやテールライト、サイクルコンピュータ、ケイデンスモニタなどが1回の充電や電池交換でどの程度の時間使えるのか調べてみよう。
自転車を購入した時にライトやサイクルコンピュータも購入した読者は多いのではないだろうか。

ブルベなどで長時間走行する時に気になるのはフロントライトやサイクルコンピュータの連続使用時間だ。
特にライトを使い続けて肝心の夜に電池切れで付かなくなった場合は危険走行になる恐れがある。
2灯などでバックアップを確保する対策も重要ではあるが、メーカー公称の数値で良いので機材ごとにランニングタイムを確認しておこう。
機材の特徴をつかんでおけば、利用シーンに合わせて「夜の峠が長いから照度が高く4時間持つライトを装備する」「街中で17時までに到着予定なので、アクシデント用に軽いライト1本を持つ」などの使い分けができるかもしれない。
なお本稿では機材沼に踏み込む問題には言及しない。

既に把握している場合は、充電時間やバッテリー容量(例えばVOLT400は2200mAh)も確認してみると良いだろう。
そこまで分かるとロングライドに最適なモバイルバッテリーの容量も算出できるはずだ。

Q083. キューシートを作成せよ[☆☆]

任意のコースに対してキューシートを作成してみよう。
キューシートとコマ図はこの後の課題で使用することを念頭に置いたルートを勧める。
この課題は超ロングライドの下準備なので短いルートでも問題ない。

ブルベに興味ない人やサイクルコンピュータの地図があれば不要という人もいるだろう。
しかし結局電源トラブルなどの時に頼れるのは非電源の資料であることや、ブルベスタッフの労力の一端を噛みしめる良い機会となることを踏まえて作成すると良いだろう。

Q084. コマ図を作成せよ[☆]

上記で作成したキューシートを元にコマ図を作成してみよう。
この後の課題で使用するので、曲がる場所が一目で分かるシンボル(コンビニなど)をコマ図に書き入れておくと良いだろう。

Q085. キューシート、コマ図を使用して実走行せよ[★]

上記で作成したキューシートとコマ図を使って規定ルートの通りに走行してみよう。
可能な限りGPSの使用は控えることが望ましいが、下を見ながら運転して事故に遭わないよう注意すること。

余裕があれば完走後に作成したルートやコマ図などの分かりにくい箇所など改善点を考察するのも良いだろう。

Q086. 動物対策を述べよ[☆]

クマとの遭遇を回避する方法や猪鹿等が出た時の対策を考察してみよう。
自身の自治体で目撃した時の連絡先や連絡方法も把握しておこう。

頻繁に山へ上る読者は下記の対策をシミュレーションするのも良いだろう。

  • 数メートル先の茂みがガサガサと鳴って「プギー!フゴー!!」と叫び声が上がった。
    その後目の前をイノシシが弾丸のように横断した
  • 下り坂のブラインドコーナーを曲がったら目の前にシカがいた

なお、どちらも筆者が体験した実話である。
幸いなことに被害はなかったが、『クマかもしれない運転』ができる準備をしておくのは悪いことではない。

Q087. 仮眠を取る方法や宿泊時の注意点を考察せよ[☆☆]

漫画喫茶など仮眠を取れる施設の探し方や自転車をもって宿泊や予約する時のノウハウや失敗があればまとめてみよう。
超ロングライドと睡眠は切り離すことができない。

ロードバイクを持ち込めると口コミにあるホテルを予約したら持ち込み禁止で輪行袋を使ったとか(ゴリ押しはやめましょう)、ルート上の健康ランドを使ったとか、早朝にチェックアウトしようとロビーのピンポン押しても電話しても誰も出なくてイベントDNFギリギリまでチェックアウトできなかったとか、思い出やノウハウをまとめておくことで今後の対策になるはずだ。

なお、何時間以上の時間的余裕があればホテルに泊まるなどの判断基準やその他の眠る場所候補は『ブルベのすべて(ISBN-13:978-4905158431) 257~267ページ』に詳細な記述がある。
ブルベ600などに興味と不安がある読者は、上記の本を読んでおくのも良いだろう。

12章 知は愛、愛は知である

ほとんどのイベントに参加できるだけの走行知識を手に入れた。
しかし本稿でここまで扱った内容では足りないものがある。

そう、イベントはどんな種類があり、いつどこで開かれるのかという、イベント自体の知識だ。
この章で読者がライドを楽しむ知識の、最後のピースを埋めて欲しい。愛で。

Q088. 自転車イベントの種類を区分せよ[☆]

自転車イベントには様々な種類がある。それらを距離やつらさなどの項目別に区分してみよう。
短い:ヒルクライム、普通:ショップライド、長い:センチュリーライドなどの距離区分でも良いし、
簡単:ブルベ200、普通:The PEAKS、ヤバい:PBPなどの難易度区分でも良い。

主観と客観を交えて読者自身と友人(および沼に引きずり込みたい新人)のためになる区分を考察するのも良いだろう。

Q089. 在住都道府県の自転車イベントを5個上げよ[☆☆]

読者自身の在住都道府県で開催された自転車イベントを5個以上上げてみよう。
イベントの種類は問わず、ヒルクライムでもTTでもグランフォンドでもショップライドでもブルベでもサイクルモードやエキスポでもジャパンカップでも同人誌即売会でも構わない。

Q090. 全国で行ってみたい自転車イベントを5個挙げよ[☆]

今後行ってみたい自転車イベントを5個挙げてみよう。
全国とは国境なき全国でも構わないし、キャノンボールなどの私設イベントでも構わない。
もちろん過去に行ったことのあるイベントでも良いだろう。

Q091. 1年間で自転車に使った費用(イベント参加費、交通費なども含む)の総額を求めよ[☆]

表題の通りである。概算で良い。
100万を超えて家族に見せられない場合は、計算結果をそっと胸の奥にしまうのも良いだろう。

Q092. ロードバイク界特有の用語を5個挙げよ[☆]

『フルアウター』や『ダンシング』など、ロードバイク界で通じる特有の専門用語を5個以上挙げてみよう。
特定の団体を中傷するようなHIDOIネタはやめること。

ここまでのドリルを通して触れてきた様々な用語をまとめるのも良い。
特定の章に関する用語を集めるのも良いし、例えば獲得標高などドリルに記載されていない用語縛りに挑戦するのも良いだろう。

Q093. 自転車のアマチュアを題材にしたマンガや小説を挙げよ[☆☆]

表題の通りである。
プロのロードレースではなく、キャッキャウフフフレッシュしたり自己満足したり免停でラーメン屋に行ったり東京の史跡を回ったり鎌倉だったりキモキモ言って翼を生やしたり日本一周のため走り出して即座に自転車が大破する野郎だったりするマンガや小説を挙げてみよう。

上記を全部分かるような読者はベスト3なりベスト5なりを紹介するのも良いだろう。

13章 プロの世界

本稿の伝説によると、アマチュアから遠く離れた高みに選ばれしプロのみ走るという約束の地があるという。
日常とは違うプロの世界を知り、ライド以外の楽しみ方に触れることがこの章の趣旨である。

Q094. 自転車のプロを題材にしたマンガや小説を挙げよ[☆☆]

表題の通りである。
武蔵開成高校のテストに競輪が出題されたりアシストとしてプライドを犠牲にしたりドーピングの現実に向き合ったり新人が必ず吐くキツイ練習コースがあったりするマンガや小説を挙げてみよう。

かもめはチャンスだったりするプロかアマかよく分からない(アマ寄りだとは思うが…)作品は自己の裁量で解釈してもらって構わない。

Q095. 地元のプロチームや競輪などの選手を調査せよ[☆☆]

地元密着のプロチームや地元出身のロードレース選手、競輪選手がいないか調べてみよう。
プロの自転車レースを観戦する国内人口は、野球やサッカーなどのメジャースポーツに比べて少ないと言わざるを得ない。

ロードバイクが趣味で地元のプロの活動を知らない人も多いようだ。
この機会に地元と関係するプロ選手を把握して、イベント時に応援に行くのも良いだろう。

Q096. 日本で活躍するプロ選手を調査せよ[☆☆]

日本や世界のトップ層に君臨するプロ選手を挙げてみよう。

今やバーレーン・メリダやキナンサイクリングチームからグランツールで活躍する日本人のプロ選手も出てきている。
日本限定でもKEIRINグランプリ(GP)を観ると超一流の選手が人外の出力でしのぎを削っている。
この機会に普段意識していない競技で活躍するプロ選手を調べて、その凄さを味わうのは良い経験になるはずだ。

既にレース観戦が趣味の読者は推しメンを熱く語るのも良いだろう。

Q097. 世界のプロツアーを調査せよ[☆]

ツール・ド・フランスをはじめとする世界のプロツアーに何があるか調べてみよう。

何度かグランツールという単語が出ているが、ツール・ド・フランス以外に世界が熱狂するレースはあるのか調べてみるのも良いジロう。

既にグランツールくらいは常識という読者は、UCIプロツアーやクラシックレースなどプロリーグの種類を整理しておくのも有意義ではないだろうか。

Q098. 世界で活躍するプロ選手を挙げよ[☆]

世界で活躍する(した)プロ選手を挙げてみよう。
ツール・ド・フランス前後に自転車好きが集まると、自然とフルームやサガン、キッテルなどヒーローの名前が挙がる。
そしてランスやカンチェラーラは信長や秀吉と同様の社会常識である。

その常識の善悪は本稿で扱わないが、ツール・ド・フランスにおける最近の優勝者やプロツアーの活躍選手を把握しておいて困ることはない。
むしろ色々調べて選手の凄さを知り、ファンになるのも良いだろう。

Q099. 人類の自転車記録に挑戦して現実との違いを把握せよ[★]

安全第一を前提とした上でギネス記録など、自転車記録に挑戦してみよう。
例えば時速144キロ2000ワット2700kmを11257分のように、トップクラスの凄さにどこまで近づけるか試してみるのも良いだろう。
筆者がTwitterを見ていると記録を上書きできそうな人外も居たりするが、挑戦する時はとにかく安全を確保してやってみてもらいたい。

14章 ロードバイク

Q100. あなたにとってロードバイクとは何か[☆★☆]

ロードバイクに関連する「好きなこと」「やりたいこと」「ハマっていること」など、あなたとロードバイクとは何かを考えてみよう。

ここまでドリルを進められたなら、頭の中に答えを持っているだろうしそれが正解だ。
「はやい、うまい、やせる、もてる、いんすたばえ」も正解だ。
もちろん「艶めかしいカーボンでスローピングフレームのトップチューブとダウンチューブが抱き合う構造でごはん3杯イケる」でも正解だ。

「多すぎて決められない」と答えても正解だが、数年後にこのドリルを読み返す可能性があるなら今の考えを書いておくのも良いだろう。

あとがき

本稿のドリルすべてを実践した読者がもし地球上にいるならば、その方は既に初心者を卒業している。
そうでなくともこの長文をここまで読んでもらえただけでもありがたい。

本稿をツイートしたところ、多くの方々から好意的な感想をいただけたことを嬉しく思う。
特に初心者のバイブルになって欲しいというコメントが、本稿が目指すところを的確に表現してくれた。

筆者がロードバイクを始めた当初、目についた雑誌や書籍を買い、手探りでWeb検索してレースイベントに参加し、遠出するために様々なサイクルガジェットを買って成功も失敗も重ねて手探りで経験を積んだ。
その後Twitterを始めて沼へ片足を突っ込んだ訳だが…。

師匠がすべてを口伝してくれる人、飛び込みでイベントに参加できる人、試行錯誤を厭わない人はそれでも良いだろう。
しかしそこまで機会や情熱を持たないうちに、代わり映えしないサイクリングロードを走り続けることに飽きて自転車を降りてしまう例があるかもしれない。
そして人間は興味ないことへアンテナを伸ばしにくいもので、楽しいイベント情報は集めても事故対策情報は集めない例もあるかもしれない。

筆者が抱いている上記の焦燥感を払拭するために本稿を書き始めた。
交通ルールやマナー、アクシデント対策などのネガティブな要素と自走の楽しみ方やプロ観戦のきっかけなどのポジティブな要素を、ここまで網羅的に扱っているサイトや本はほとんどないと自負している。
無駄な長文は筆者の終生の習性なので、より簡潔で万人向けの記事を書ける方は本稿を更改して公開してもらいたい。

ロードバイクにはリスクがあっても、それを補って余りある健康や幸福をもたらすツールである。
読者諸兄諸姉が今後も豊かなロードバイク生活を広げるために、そしてそれを初心者に伝えるために本稿を活用していただければ幸甚の至りである。

末筆ながら筆者はラノベをあとがきから読むタイプの人を否定するつもりは全くないことを付記しておく。
それでは、良いライドを!